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最高裁判所第二小法廷 昭和39年(あ)2106号 決定 1965年2月05日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

弁護人奥村孝の上告趣意は、原審が公職選挙法の解釈適用を誤つたことを前提として違憲をいうが、同法一四四条二項に規定する証紙を、一度ポスターにはつた後これを他のポスターにはりかえる等の行為は許されないものと解すべきであり、従つて証紙を転用する可能性のある限り、被告人らの本件ポスター頒布行為は、その掲示の準備行為にすぎず、犯罪を構成しないという被告人らの主張を斥け、右行為は、同法一四二条に違反するとした原審の判断は相当である。そうすると右論旨は、その前提を欠き採るを得ない。

その余の論旨は単なる法令違反の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同法四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同法四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助 草鹿浅之介 城戸芳彦 石田和外)

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